石仏の分類と種類
石仏の分類法
石仏は、構造において、移動ができる「独立した石仏」と、移動のできない「石窟仏」の、大きく2つにわけることができます。また、彫刻手法をベースにして、以下のような分類もできます。
- 線刻:筋彫り。細い線を彫ること。
- 薄肉彫:ごく薄く浮彫したもの。レリーフ。
- 半肉彫:やや肉のある掘り方で、側面が半ば見える程度のもの。
- 厚肉彫:側面がほとんど見えるほど、厚く突出して彫刻しもの。
- 丸彫:完全に背面までも造り出したもの。最も技術を要する。
石像の種類
石仏として彫られる仏像は、釈迦・薬師・弥陀・大日の如来をはじめ、観音や地蔵など、一般的に信仰を集めている像は一通り作られています。その中でも、浄土教の普及によって、阿弥陀三尊像と、民間信仰の地蔵像の数は圧倒的に多いです。よく彫られる石仏を見分けるポイントを簡単にご説明します。
如来
ひと目でわかる如来の特徴は、頭部に螺髪(らほつ)と呼ばれる小さなブツブツがあることです。石仏でよく見られる、釈迦如来、薬師如来、阿弥陀如来を特定するには、手の形(印相)を見てください。
釈迦如来
釈迦如来は、①手をおなかの前で組み合わせる(禅定印)、②片手を上げて、手のひらを前に向け(施無畏印)、もう一方の手を下げて手のひらを上に向けた形(与願印)、のどちらかであることが多いです。
薬師如来
病気を治してくれる如来なので、手のひらに小さな薬壺を乗せています。
阿弥陀如来
両手で輪を作って、おなかの前で組み合わせる(阿弥陀の定印)形が多いです。

菩薩
石仏においては、地蔵菩薩と観音菩薩が圧倒的に多いです。釈迦如来の脇侍である文殊菩薩、普賢菩薩も製作されていますが、文殊菩薩は獅子に、普賢菩薩は象に乗っていることで見分けることができます。
地蔵菩薩
子どもを守る存在や、村の守り神として親しまれているお地蔵さん。僧侶のような恰好をし、錫杖と如意宝珠を持っています。お地蔵さんは錫杖を鳴らしながら歩くので、人はお地蔵さんの助けを、その音でわかるのです。また、如意宝珠は、人の願いを思いのまま叶える珠だとされています。
観音菩薩
正しくは、観世音菩薩。人の願いをかなえてくれる存在として、信仰されています。聖観音、十一面観音、千手観音など、さまざまな姿に変身するのが特徴です。如来との見た目の違いは、如来が螺髪なのに対し、菩薩は冠をかぶったり、髷を結い上げたりしています。

参考文献
・川勝政太郎.新版石像美術.誠文堂新光社.昭和56年
・吉田さらさ.石仏・石の神を旅する.JTBパブリッシング.2012年